「どうやって」ではなく「何のために」を考えさせてくれる本

こんにちは。オールブラックです。
僕は、本を読むことが趣味の一つですが、本の中でも特にビジネス書が好きで、よく読んでいます。
本ブログにて、僕が読んだ本の中で、自分の考え方や人生に刺激や影響を与えてもらい、本当に価値ある本だなと思ったものを、不定期に投稿していきたいと思います。自分の頭の整理と備忘録のためにも!




今回、ご紹介する本は、『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』です。
著者は、元スターバックスコーヒージャパンCEOの岩田 松雄さんです。
岩田さんは、2005年にTHE BODY SHOP Japanを運営する㈱イオンフォレストの代表取締役社長に、2009年からは、スターバックスコーヒージャパンCEOにご就任されています。どちらの会社でも様々な改革を実行され、見事にブランドを再生させており、本書以外にも多くの本を執筆されています。あのTEDでもプレゼンされていたのですが、動画を見たときの印象として、とても説明が分かりやすく、話がスッと入ってきたなぁという覚えがあります。


目次

本の概要

本書は、なぜ人々はスターバックスとスターバックスらしきコーヒーショップとを明確に区別しているのかという問いから始まっており、そこには、人々を魅了する”何か”があるからだとされています。
そして、その”何か”こそ、本の題名にもなっている「ミッション(使命)」であると述べられています。

そして、その”何か”を生み出すのが企業と働き手たちのミッション(使命)に他なりません。

出典:岩田 松雄著『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』p.3 ㈱アスコム

スターバックスを特別な存在にしているのは、このミッションがそこで働く人たちに深く浸透しているからだとされています。

 スターバックスを特別な存在にしているのは、スターバックスとそこで働く人たちに、こうしたミッションが深く浸透しているから。

 何のために働くのか?どこに向かってビジネスをしているのか?その持続的な問いかけが、従業員ひとりひとりに深く染み渡り、終わりのない努力を続けているからこそ、他社との「違い」を生み出し、一流に見えるのです。

出典:岩田 松雄著『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』序章p.25 ㈱アスコム


本書は、このミッションをキーワードとして、そこから、スターバックスの事例などを踏まえ、企業が存在する意味(企業は何のために存在しているのか)や、働く意味(自分たちは何のために働いているのか)は何なのかについて触れられており、自分たちの会社や仕事、働くことに対して、一度立ち止まって考えてみるきっかけを与えてくれる本です。また、会社だけでなく、私達ひとりひとりが、自分で考えた自身のミッションを持ってほしいという岩田さんの思いからこの本は書かれており、読者のミッション構築をお手伝いし、元気づけること、これが本書の目的にもなっています。本書を読み進めると、節々でミッションによって、世の中をもっと素敵で、よりよいものにしたいという岩田さんの熱い思いが伝わってきます。




本を読んだ感想や考えたこと

なぜ最初にこの本を投稿しようかと思ったかといいますと、今まで、全然本なんか読んでこなかった僕が、この本に出会ったことで、本(特にビジネス書)って面白い!人生を楽しむヒントが色々つまってる!って思うようになり、ビジネス書ライフをスタートさせるきっかけになった本だからです。

もともと小さい頃から、考え事や空想、妄想するのが好きでした。中でも、物事の中心にあることや、そもそも論について、つまり物事の本質って何だろうということに、なぜだか興味を持っていました。なのでよく、この世界って最初どうやって始まったの?とか、どんな仕組みで動いてるの?とか、常識って何?とか、物事に正解はあるの?とかを、多分小学生ぐらいからぼんやり考えてました。学校の授業でも倫理が一番好きでした(あ、体育も同じくらい好きです)。数学は苦手です。
こんな感じだったので、「ミッション」という物事の根源的な話について語られている本書を見たとき、ビビッと反応したんだと思います。

本書を読んで、とても共感できると思った点として、
「物事のやり方」よりも「物事の目的、なぜ、なんのために」にスポットをあて、そこを重視している点です。
最近よく耳にする言葉として、「働き方改革」という言葉がありますが、僕はこの言葉に違和感を覚えます。
「働き方」と言ってしまうと、働く方法をどうにかして改善しようということになりますが、いくら働く方法を改善しようと思っても、そもそも「なぜ働くのか、働く意味は何なのか」という本質的な部分に目を向け、問い直さないと、働くをとりまく数多くの課題について、根本的な解決には至らないんじゃないかなぁと思うからです。
本書でも「どうやって働くか」という働き方やスタイルよりも、「何のために働くのか」という点が、中心的なテーマになっており、この「何のために」を突き詰めて凝縮し、エッセンスとして体現されたものこそ「ミッション」という考え方だと思います。
ホント、これを見つけたときは、「これだ!!」と思いました。自分が心の中でなんとなく思っていたようなことを、的確に体現したキーワードだったのです。

本書を読んで、人でも企業でも明確な「ミッション」を持っているか持っていないかで、組織や人のパワーやパッションが全然違ってくるんだなと感じました。ただここでの注意したいのは、「ミッション」は、一部の人がただ作って掲げるだけでは、ほとんど何の役にも立たない意味のないものになる可能性があるということです。「ミッション」に関わる人みんなが、それを意識し、自分のこととしてとらえ、噛み砕き、解釈し、問い続ける。こういったことが行われて初めて大きな意味を持つものになると思います。この点は、本書でも触れられています。

 社長がミッションを書き、額に入れて飾っているだけでは意味がありません。経営者だけが意識していても不十分なのです。

 「われわれは何のために働いているのか?」そこで働くだれもが、心からミッションを意識しているからこそ、火花の輝きに向かって力を注ぐことができる。そんな企業が、新しい価値を生み出す。

出典:岩田 松雄著『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』序章p.25,26 ㈱アスコム



「ミッション」については、僕自身、仕事の中で、実践してみようと思い、実際、当時勤務していた組織のメンバーみんなで、何ヶ月間かかけてミッション作りを行ったこともあります。ミッション作成の過程では、自分たちの組織はいったい何のために存在するんだろう?社会に対してどんな役割があるんだろう?といったことを職場のメンバー全員で考えて、お互いの意見を共有し、また考えるを繰り返しました。自分たちの組織や仕事に対し、普段そこまで向き合う機会はほぼないため、とても意味のある時間を過ごせたと思います。何より、係の枠を越えて、職場のメンバーみんなで、話合いをする場ができたことが収穫でした。こういったことを考えてみようと思ったのも本書がきっかけです。




本書で、もう一つ印象に残っていることがあります。
それは、「スターバックスはコーヒー売ってるわけではない!」ということです。


・・・え、コーヒー売ってるんじゃないの!?って感じですよね。僕も最初これを見たときは、どういうこと?と思いました。でも、これも実は「ミッション」とつながってる考え方になっていて、「コーヒーは目的ではなく、あくまで手段」でしかないということです。スターバックスが目的とするところ(ミッションとするところ)は、また別であって、それを達成するために、たまたまコーヒーを扱い販売しているにすぎないというわけです。本書では以下のように記載されています。

要するに、スターバックスはたまたまコーヒーを扱っているだけであって、目指しているのはコーヒー・ビジネスではなく、「ピープル・ビジネス」なのだということです。

出典:岩田 松雄著『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』第3章p.139 ㈱アスコム

これは、個人的には、非常に重要なことを言ってるなと感じました。
普通、世の中の様々な商品やサービスを販売・提供する会社にとって、「何を提供しているか?」を考えたときに、多くの人が、実際に売られている商品やサービスを考えるのではないでしょうか。でもその会社の「ミッション」や「何のために?」を突き詰めていくと、それらは、あくまで「手段」でしかないということが見えてきます。本当の「目的」とするところは、そういった手段を使って、達成しようとする何かということになります。

ただ、実際には、仕事をする場面では、しばしば「手段」と「目的」が混同していたり、「目的」が何だったのかわからなくなっていることが多いのが現状ではないでしょうか。

例えば、僕の働く組織でよくあるのが、前任者がやっていた仕事を引き継ぎいでやる際、とりあえず前と同じやり方どおりに、きちんとやればオッケーみたいなことがよくあります。
これだと、とにかくその仕事を前と同じやり方でいかにこなすかということに重きが置かれ、そもそも何のためにやってることなんだっけ?と考えることは度外視されます。なので、とりあえず、今までずっとやってきたけど、実はもうあまり意味のない仕事だったということにもなります。とにかくその仕事をこなすことが、さも目的であるかのようになっています。

これを僕は、「手段の目的化」と呼んでいます。

手段が目的になってしまうと、そもそもなぜその仕事をやっているのか、なぜ売っているのか、なぜ提供しているのかが見えなくなり、「いかに〜するか」「どうやって〜するか」ばかりを考えることになります。
でも、世の中に対し、本当に価値あるものを提供し、輝いている企業や人というのは、手段と目的をきちんと区別し、常に「何のために」を問い続けているところではないかと思います。

少なくともスターバックスは、この手段と目的を混同することなく、きちんと区別し、あくまで目的達成のために手段を使っている企業だといえます。だから、あんなにはお店がはやっていて、ファンも多いわけです。



今回は、岩田 松雄さんが著者の『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』についての投稿でした。「どうやって」ではなく「なんのために」を考える「ミッション」というキーワード・考え方。どんな企業や人にとっても、極めて重要な考え方ではないでしょうか。



ところで、スターバックスの「ミッション」って、どんなミッション?って思いませんか?
スターバックスのミッションは、・・・ちょっと読み返してきます。






おわり

ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由
著者:岩田 松雄
発行所:株式会社アスコム
発行日:2012年10月7日

目次
閉じる